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仕事のストレスで退職・休職した方は、「フロー効果」と「仕事を面白くする方法」を上手く活用して安定した就労・復職を。

 仕事は、誰にとっても必ずしも楽しくやりがいのあるものではないかもしれません。それどころか、もしかすると「やらされ感」があったり、つまらないと感じることも多いかもしれません。
 こうした問題は、仕事自体は変わらなくとも方法や捉え方を見直すことで改善できるというケースもあります。

 仕事のモチベーションを高めることは、幸せと密接に関連しているといわれています。つまらないと感じている仕事を楽しくしていくことや、モチベーションを高めて夢中になることは、人生に良い影響を与えます。

 今回は、仕事のストレスによって退職や休職に陥った方が、仕事のやり方を見直し、今後の安定した就労や復職を目指す上でひとつのきっかけとなりうる「フロー効果」と「仕事を面白くする方法」についてご紹介します。

目次

1.夢中になる「エンゲージメント」

エンゲージメント
 何かに夢中に取り組むことは、「エンゲージメント」と呼ばれることがあります。このエンゲージメントは、ウェルビーイングを構成する5つの要素であるPERMAの2つめの「E」に該当します。

 「エンゲージメント」は、直訳すると「没頭していること」「婚約」「約束」などを意味します。ポジティブ心理学では、主に「物事へ積極的に関わっていること」「何かに没頭すること」「時間、他者、自分を忘れて何かに夢中になること」などを指します。

 また、近年では従業員の思い入れや愛着、帰属意識を示す言葉として「エンゲージメント」や「ワークエンゲージメント」という言葉も多く用いられるようになっています。

2.集中した状態を意味する「フロー」

 エンゲージメントについて知る上で欠かせないのが、「フロー」という言葉です。フローとは、心理学者であるチクセントミハイが提唱したもので、エンゲージメントがより強くなった状態、すなわち完全に何かに没頭・集中している状態のことをいいます。アスリートが使う「ゾーン」の状態とは厳密にいえば異なりますが、似たイメージです。

 フローを経験すると、その後の人生に良い影響を与え、人生を充実させると報告する研究論文が複数あります。
 アメリカの高校生を対象としたある研究では、13歳のときにある領域でフローを多く経験している生徒は、17歳になるまでその領域に没頭し続ける可能性が高いことが示されています。また、数学が得意な生徒を対象とした研究では、コースの前半でフローを体験した学生は、後半により良い成績を残すことが報告されています。

 これらの研究が示すように、フローを経験することは、その後に良い影響をもたらすと考えられています。それでは、フローとは具体的にはどのような状態であり、どのような条件で生じるのでしょうか。

 下図は、チクセントミハイが提唱したフロー状態を分かりやすく示した模式図です。
横軸がスキル、縦軸が挑戦を表しています。
不安と心配
 横軸は、右にいくほどスキルが高い状態を指します。これに対して縦軸は、上にいくほど課題が難しい状態を指します。

 たとえば、下図のように挑戦がスキルを上回っているとき、つまりは自分の能力を上回る課題に挑戦しているとき、人は不安を感じ、心配になります。

 
 一方、スキルが挑戦を上回っているときは、最初はリラックスを感じるも、やがて退屈さに繋がります。
退屈とリラックス

 「フロー」は上図のいずれもでもなく、挑戦の難易度とスキルが共に高いレベルにあるときに生じると考えられています。
フロー状態

 これらのことから、仕事に退屈さを感じているときは少し難易度の高い仕事に取り組むなどして、フローに持っていけるよう調整することが大切であるといえます。

 チクセントミハイがESM法(※日常生活で経験していることをその場で、そのままサンプリングする手法)を用いてスポーツ選手や芸術家、医師などにフロー状態について聞き取り調査をしたところ、フローには以下の特徴があることが分かりました。

【フローの特徴】
①ゴールが明確で進捗が分かる
②集中を妨げられない
③人の目や時間が気にならない
④自分で工夫したことによる成果だと確認できる
⑤難易度がちょうどいい
⑥活動に本質的な目的を見出している
⑦好きな活動である

 以上のことから、フロー状態を実現するためには自分のモチベーションを高め、意欲的に取り組むことが大切であることが分かります。フローは仕事を通じて体験することが多いといわれていますが、スポーツや芸術活動、勉強、読書、人との交流など、プライベートに起こる身近な活動でも体験することができると考えられてます。

3.仕事をおもしろくする方法

 仕事に集中し、没頭するためには仕事を楽しむ方法を押さえることが重要です。こうした方法は、「ジョブ・クラフティング」と呼ばれます。ジョブ・クラフティングは仕事を面白いものに作り変えていく方法で、“やらされ感”のある仕事を働きがいのあるものへと変えていきます。それにより、「いっそうより仕事に没頭しやすくなる」「仕事へのエンゲージメントが高まる」といった点が期待されています。

 ジョブ・クラフティングに取り組むためには、「人間関係」「仕事の意義」「仕事の範囲」の3つを見直すのが大きなポイントとなります。

①人間関係を修復する

 仕事を楽しむためには、仕事で関わる人との関係性を増やしたり、その質を変えていくことが大切です。「関係性を増やす」とは、たとえば他部署の人などと関わる機会を増やすことなどが挙げられます。
 これに対して「関係性を見直す」とは、たとえば接客業に従事する方であれば来店者と会話をするといった行動が該当します。

 他者との関係性や質を見直すことで、「別の部署の人との会話を増やしたことで思いもよらないヒントが得られて仕事に役立った」といった変化や、「来店者との会話を大切にするようにしたところ、来店者の笑顔が増えて新たなやりがいとなった」といった変化が起き、新たな喜びややりがいを見つけるきっかけになります。

②仕事の意義を広げる

 仕事を楽しむためには、自分がしている仕事を広く大きな視点から据え直すことも重要です。大きな視点から意義を見出すことで、喜びを感じにくい仕事であっても有意義な仕事に思えるようになります。そのため、大きな視点から自分の仕事が社会や経済にどう影響しているのかを考えていくことが大切です。

③仕事の範囲や内容に手を加えてみる

 慣例や前例にとらわれず、より楽しく取り組めるように仕事の進め方を工夫するというのも大きなポイントです。たとえば、「採用活動で候補者を募集するときに、従来であれば一般的な媒体で募集していたところを、新たにYouTubeを使って候補者を募集する」といった取り組みなどが考えられます。

 なお、より身近で自分一人の判断でできる小規模の取り組みでも問題ありません。たとえば、「社内に電話メモを残すときに手書きの可愛いイラストを添える」といった工夫でも十分に変化が期待できます。
 また、こうした取り組みは仕事の場面だけでなく、プライベートでも応用することができます。たとえば「家族にお茶を出すときは気温に応じておいしく入れられる方法を調べて実践する」といった、日常生活で行うこともできます。

 自ら主体的に自分の工夫やアイディアを実践することで、それが新たなやりがいのきっかけになります。

4.まとめ

仕事を楽しむ方法
 仕事は、必ずしも楽しく、そしてやりがいがあるものではないかもしれません。それゆえ、仕事のストレスが原因となって心身に不調をきたすというケースも考えられます。場合によっては退職や休職に至ることもあるため、仕事によるストレスのケアは多くの方にとって重要な取り組みです

 仕事が原因となる退職や休職を避けるためには、仕事への向き合い方を押さえておくことが大切です。「ジョブ・クラフティング」や「フロー状態」について理解を含めることで、仕事に前向きに取り組み、ストレスを和らげることが期待できます。

 ストレスが原因で仕事を退職・休職された方が就労や復職を目指す上で、就労・復職をサポートする就労移行支援事業所を活用するという選択肢もあります。
 就労移行支援事業所のニューロワークスでは、ストレスケアの一環として脳や身体の生活習慣を構築するブレインフィットネスプログラムを導入しています。プログラムでは食事や睡眠、運動を通じて心身の不調を改善し、安定した就労の実現を目指します。また、コミュニケーションスキルやビジネススキルの習得プログラムなども幅広く提供しています。
 パソコンやスマートフォンを用いたオンライン見学も受け付けていますので、ご興味のある方はぜひお問合せください。

監修者

監修 :K.K【公認心理師/臨床心理士(インクルード株式会社所属)】
精神科クリニック、デイケア勤務の経験のなかで、「仕事」「役割」「やりがい」の重要性を感じておりました。
社会の中で生き生きと働き、その方らしく暮らすことのサポートが行いたい、と考えております。

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