就労移行支援事業所とは?┃施設の基本的な情報を押さえよう | ニューロワークス

就労移行支援事業所とは?┃施設の基本的な情報を押さえよう

「就労移行支援事業所」は、うつ病などの精神疾患やその他のさまざまな障害のある方の就職や転職をサポートする施設です。就労移行支援事業所は全国に3,000箇所ほどあり、事業所を利用することでこれまでに多くの方が就労や転職を実現しています。今回は、そんな就労移行支援事業所の基本的な情報についてご紹介します。

1.就労移行支援事業所とは

就労移行支援事業所は、就職(または再就職)を希望する障害のある方を対象に就職や職場定着へ向けたサポートを行う施設です。障害者総合支援法に定められた「指定障害福祉サービス」の1つです。

就労移行支援事業所では、就労を実現するために以下のような訓練や支援が提供されます。

・仕事を進める上で必要なスキルや対人能力を学ぶプログラム
・安定した状態を維持するための健康管理プログラム
・適性に見合った企業へ就職するための就職活動支援
・就職後の職場定着支援

2.就労移行支援事業所が利用できる対象者

就労移行支援事業所が利用できる対象者は、就職を目指す障害のある方で就職が可能だと見込まれている方です。原則18~65歳未満の方で、精神障害、発達障害、知的障害、身体障害、その他の難病などがある方が対象です。障害者手帳をお持ちでない方も、医師の診断書にて利用を認められる場合があります。原則として未就労・未就学の方が対象ですが、休職中の方も行政の判断によっては利用を認められるケースがあります。

3.就労移行支援事業所の利用料金

就労移行支援事業所の利用料金は、前年度の収入に応じて異なります。法令では原則1割負担となりますが、免除、つまり自己負担なく利用できるケースも多くあります。利用料金は地域によっても異なるため、詳しくはお住まいの市区町村に確認する必要があります。

4.就労移行支援事業所の利用期間

就労移行支援事業所の利用期間の上限は、原則として2年間です。利用者は2年間の内に仕事に必要なスキルや安定した生活習慣を身に付け、就職を目指すことになります。なお、就職後の職場定着支援はこの期間に含まれません。

5.就労移行支援事業所の利用までの流れ

就労移行支援事業所の利用にあたっては、まずは自身の住まいの近くにある就労移行支援事業所を探すところから始めます。インターネットサイトやパンフレットなどで情報を集め、興味のある事業所に問い合わせて見学や体験実習を申し込みます。複数の事業所を比較・検討するために、いくつかの事業所を見て回ることが大切です。
事業所の見学や体験実習を経て正式に利用したい事業所が決まれば、スタッフにその旨を伝えて利用の手続きへと移ります。利用手続きはお住いの市区町村との連携も必要となりますが、スタッフが一緒になって手続きを行うため心配は無用です。必要な手続きを経て無事に受給者証が発行されれば、就労移行支援事業所の正式利用となります。

【主な流れ】
①就労移行支援事業所に関する情報収集
②問い合わせ
③見学・体験実習
④利用手続き
⑤正式利用

6. 就労移行支援事業所のプログラム

就労移行支援事業所で行うプログラムは、大きく以下の3つに大別できます。

①仕事に必要な知識やスキルの学習に関するもの
②安定した状態を維持するための健康管理に関するもの
③就職活動のサポートに関するもの

①仕事に必要な知識やスキルの学習
仕事に必要な知識やスキルの学習として
・パソコンスキル
・コミュニケーションスキル
・社会人マナー
などのプログラムがあります。
こうしたプログラムでは、仕事を進める上で必要な技能や対人関係のスキルを、職場内での具体的な事例に基づいた実践型のトレーニングで学習します。事業所によっては、プログラミングや資格取得の勉強などより専門的なスキルの学習も可能です。

②健康管理
安定した状態で長く働くためには、健康管理は欠かせません。事業所ではスタッフが個別で日々の生活習慣を管理したり運動プログラムを実施したり、またはマインドフルネスなどのプログラムでストレスケアの方法が提供されたりと、事業所によってさまざまなプログラムが用意されています。他にも、障害と上手く付き合っていくために自身の障害について理解する障害理解のプログラムや、セルフケアの方法を学ぶプログラムを提供する事業所もあります。

③就職活動のサポート
就職活動のサポートとしては、
・自己分析や業界分析を行うプログラム
・応募書類の添削
・面接練習・面接同行
・入社書類の確認
・企業との交渉
などがあります。専門のスタッフとともに就職活動の対策を繰り返し、希望の就労を目指します。

就職後は、職場への定着支援もあります。職場定着支援では、安定した状態で自分らしく働き続けるために、定期面談や生活習慣の管理などを行います。職場定着支援の内容も事業所によってさまざまなので、事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

就労移行支援事業所は、就職を目指す障害のある方に対して長く安定した状態で働き続けるために必要なサービスを提供する場所です。これまでにみてきたように、就労移行支援事業所で行うプログラムは事業所によって大きく異なります。そのため、利用を検討されている方は自分にとって最適な就労移行支援事業所を見つけられるように、いくつかの事業所で見学や体験実習を行うことが大切です。
納得のいく就労は、納得のいく事業所選びから始まるといっても過言ではありません。ぜひ、自身に合った就労移行支援事業所を選びましょう。

(写真素材:PIXTA、photoAC)

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