嫌なことが頭の中で繰り返される「反芻思考」が続く原因と、その対処法【後編】 | 就労移行支援事業所ニューロワークス

嫌なことが頭の中で繰り返される「反芻思考」が続く原因と、その対処法【後編】

今回は、前回に引き続いて頭の中で繰り返し同じことを考え続けてしまう反芻思考(はんすうしこう)について、その原因や対処法についてご紹介します。

反芻思考が繰り返される原因③ネガティブな気分状態

反芻思考が持続する原因の三つ目は、ネガティブな気分状態です。反芻思考はネガティブな気分のとき、つまり抑うつのときに生じやすいことが研究によって示されています。

これは、「気分一致効果(Mood-congruency effects)」という特定の感情が意味的につながりの深い記憶を想起させる現象が起きていることが原因として考えられています。ネガティブな気分状態のときにはネガティブな記憶が想起されやすくなり、その結果、反芻思考が生じやすくなります。そして、反芻思考により生じたネガティブな気分がさらに反芻思考を生じさせ、反芻思考が持続するという悪循環を生み出します。

こうしたネガティブな気分状態が要因で繰り返される反芻思考への対策としては、「自分にとって楽しいことをする」という方法があります。
大学生を対象に日常的な活動場面と反芻思考の関連性を調査したところ、反芻思考の低減に効果的である活動として、「趣味」「テレビ・パソコン」「食事」などが挙げられました。この研究により、主観的に楽しいと感じる活動が反芻思考の低減に効果的であることが示されました。
また、多くの研究によって反芻思考は抑うつを持続させやすく、逆に気晴らしは抑うつを軽減させることが報告されています。 つまり、自分にとっての気晴らしや楽しいことをすることが反芻思考の対策につながります。

反芻思考が繰り返される原因④反芻思考に対する過度な期待

反芻思考が持続する原因の四つ目は、反芻思考に対する過度な期待です。 研究によれば、反芻傾向が高い人は反芻思考をすることに対して過度な期待(すなわちポジティブな捉え方)をしていることが報告されています。つまり、反芻思考は問題解決につながる有益なものであるという考え方が、反芻思考を持続させているということです。また、反芻思考をしないことで生じる不利益に関する考え方も、反芻思考の増加と関連しているといわれています。「人生の悪影響への回避」や「現状の悪化の回避」のために反芻思考が増える傾向がみられ、反芻思考をしないことで生じる悪影響を回避するために反芻思考が持続している可能性が指摘されています。

こうした過度な期待が原因で繰り返される反芻思考への対策としては、まずネガティブな反芻思考が脳・心・身体に及ぼす悪影響を理解し、その上で「高次の視点」「超越したところ」から客観的に自分を認知すること(メタ認知)が効果的といわれています。もう一人の自分がより高いところから事実に基づいて客観的に反芻思考することのメリットやデメリットについて検討するなど、自分の認知を捉え直すことが大切です。自分の偏った思考の癖に気づくことが、反芻思考を見直すきっかけになります。

まとめ

毎日の生活の中で、嫌なことが頭の中で繰り返されるという経験をしたことがある人も少なくありません。こうした反芻思考には原因があり、対策方法もあります。

これまでにご紹介した4つの対策以外にも、反芻思考の抑止に効果的なものはたくさんあります。反芻思考の抑止に効果的なのは、楽しく取り組むことができ、ワーキングメモリを使い、反芻思考ができない状況に自分自身を持っていける活動です。例えば、ダンスやヨガ、ボクササイズ、ボルダリング、ロッククライミング、自然の中のウォーキングなどが例として挙げられます。

自分の反芻思考はどういったことが原因で繰り返されるのかを把握し、適切な対処法を見つけていきましょう。

監修 : 杉浦理砂(脳科学者)

インクルード株式会社 ブレインフィットネス研究所 ディレクター
脳科学者、工学博士(応用物理)、東京都立大学特任准教授(現任)

(写真素材:PIXTA、photoAC)

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